リハビリ、医療・介護・福祉、そして政治を、どげんかせんといかん ブログよりシェアさせていただきます。
- リハビリテーション診療報酬の 「包括化」 導入の可能性について考察したいと思います。
(資料1) 超急性期リハビリテーションで急性期加算の設定を要望
全国医学部長病院長会議 (平成19年5月18日) において、平成20年度診療報酬改定に対する要望について討議が行われた。
大学病院における超急性期リハビリテーションは、ベッドサイドでの訓練の必要性や、患者にとっては突然の機能喪失に対するモチベーションの低下など多くの困難を伴うが、発病後2週間で主病名の治療以外に適切なリハビリテーションを行うことが重要であるということで、同会議・DPC検討委員会では、大学病院の超急性期リハビリテーションの提供を促進するため、個別のリハビリテーション点数だけでなく、発病後2週間以内のリハビリテーションに急性期加算を設定すべきという要望を出すことになった。
(資料2) 「医療経営Phase3 (フェイズ・スリー)」 (平成19年12月号) の中の記事 (霞が関ズームアップ「平成20年度診療報酬改定の評価項目が浮上」) において、下記の 「急性期リハビリテーション料の新設」 に関する予測記事が掲載されたが、結局、平成20年度診療報酬改定での導入は見送られた。
【急性期リハビリテーション料の新設】
リハビリテーションは発症初期から開始することが重要であり、平成18年度診療報酬改定でも急性期・回復期のリハビリを評価している。
急性期・回復期のリハビリは、発症直後から関節可動域訓練などを開始することが重要視されているが、急性期は臥床したままで、リハビリの専門病院に転院した後、または回復期リハビリ病棟に転棟した後に、リハビリを開始する事例も多い。
この場合、リハビリを開始する時点で既に回復が困難なレベルにまで拘縮が進んでいるため、回復期リハビリが充分な効果を発揮できない事例があることも、厚労省は把握している。
これらをもとに同省では、発症直後から何らかのリハビリを開始することを評価した点数を設定することを検討している。
具体的には、「1日につき150点の急性期リハビリテーション加算を新設する」 意向だ。
算定条件としては、
①リハビリを必要と認める患者に対して発症直後から2週間までの間に、
医師の指示の下、看護師 (准看護師を含む)、または理学療法士が関節
可動域訓練などを実施した場合に、入院基本料に加算できる。
②対象者を疾患別リハビリの対象患者に限定する。
③疾患別リハビリ料とは併算不可とする。
などが考えられている。
財政負担は、年間16億円程度と試算されている。
(資料3) 次期衆議院総選挙のマニフェストの基になる 「民主党 INDEX 2008」 の 「厚生」 の章26ページに下記の記載がある。
【包括払い制度の推進】
超急性期・回復期・維持期リハビリテーションについては、その重要性を考慮し、当面は出来高払い制度としますが、スタッフの充実度および成果を検証し、将来的には包括払い制度に組込みます。
(資料4) 疾病横断的なリハの包括化は難しい
[厚生労働省DPC研究班・主任研究者 松田教授 (産業医科大学)]
Japan Medicine (2007/6/11) によると、第44回日本リハビリテーション医学会学術集会 (平成19年6月6~8日) において 「DPC導入とリハビリテーション医療」 に関するシンポジウムが開催された。
同シンポでは、厚労省がDPC参加への拡大方針を示すとともに、2010年度診療報酬改定での調整係数の廃止の動きから、現行体系で出来高払いのリハビリテーションが、今後、包括範囲に組み込まれる可能性を危ぐする意見もだされた。
これに対して松田教授は、「制度設計は厚労省、中医協が行うことだ」 と前置きした上で、DPCについては、傷病名が優先される分類であるため、疾病横断的なリハビリテーションを包括化していくことは難しく、出来高範囲に置く方が妥当との見方を示した。
また、聖隷浜松病院の高橋博達氏は、「同院のDPC適用患者の85%がリハビリ非提供だったことを考慮すると、リハビリを包括範囲に組み込む必要性がない」 との見方を示した。
(資料5) リハビリテーション医療のあり方 (日病協)
日本病院会 (日病) など11の団体で構成する日本病院団体協議会 (日病協、議長:山本修三・日病会長)は、2008年12月25日、「医療・介護提供体制および診療報酬体系のあり方について」 (2008/12/19) という提言書を公表した。
提言書は、入院医療、精神科医療、介護入所施設、外来診療、入院基本料、医療専門職の職掌、リハビリテーション、DPC、の8章より構成されている。その中で、リハビリテーション医療の部分を下記の通り。
(1) 急性期リハビリテーションについて
リハビリテーションは発症後や手術後、提供が早期であればあるほど高い効果が期待できることは周知の事実である。また、手術によっては術後発生する可能性の高い障害を予防するための術前 (予防的) リハビリテーションも効果がある。
これらのリハビリテーションはベッドサイドで行えるものが主体であり、専用の施設や病床は必ずしも必要としない。「施設基準」ではなく、「人員配置基準」 を定めることが効率的である。
また、急性期リハビリテーションの提供については、高度な判断が必要となるため、リハビリテーション専門医の配置を高く評価すべきである。
(2) 回復期・亜急性期リハビリテーションについて
回復期・亜急性期リハビリテーションについては、多くの面から制度改正が行われたため、施設整備は順調である。
しかし、「回復度」 や 「一律の提供時間・期間」、「限られた疾病・部位」 など、まだ科学的根拠が確立されていないものまで診療報酬制度で規定されているため、利用者・国民の理解が得られない場合がある。今後は充分なデータに基づく制度設計が望まれる。
(3) 維持期リハビリテーションについて
維持期リハビリテーションは、その必要性が高いことから、医療保険、介護保険を問わず両制度下で提供されるべきである。特に進行性疾患や重度障害に対しては、疾患治療の継続と同時に、医療保険下での長期的リハビリテーションが必要であり、本来、適応、期間等は医師の裁量に任せるべきものである。一方、介護保険下では、体力や機能の維持・向上、社会参加の促進、介護負担の軽減、等を通して自立生活を支援することが目標となる。しかしながら、現行の介護保険制度下では、その量・質とも十分とは言い難く、早急な改善が必要である。
症状増悪期や廃用症候群に対しては、適切なリハビリテーションを医療・介護、在宅・施設を問わず、短期集中的に実施出来る環境・制度が求められる。
資料1では、平成20年度診療報酬改定に対して、大学病院での超急性期リハビリテーションとして、個別のリハビリテーション点数だけでなく、発病後2週間以内のリハビリテーションにおける急性期加算の要望が挙げられています。
資料1の提案が、資料2の 「急性期リハビリテーション料の新設」 に繋がっていると考えられます。
この 「急性期リハビリテーション料」 は、発症から2週間、看護師・准看護師・理学療法士 (PT) がベッドサイドで関節可動域 (ROM) 訓練等を施行した場合、入院基本料に加算されます。但し、疾患別リハビリテーション料とは併算不可であり、いわゆる 「包括化」 された点数です。
しかしながら、結局、平成20年度診療報酬改定での導入は見送られました。
資料3では、民主党が、超急性期・回復期・維持期リハビリテーションの将来的な包括払い制度 (「包括化」) の導入を謳っています。但し、急性期は出来高制度を堅持するようです。
資料4では、平成19年の時点において、DPCのキーマンである松田教授が、「DPCについては、傷病名が優先される分類であるため、疾病横断的なリハビリテーションを包括化していくことは難しく、出来高範囲に置く方が妥当」 と述べています。
資料5の 「リハビリテーション医療のあり方」 (日病協) では、リハビリテーションの 「包括化」 については明確には記されていませんが、急性期リハビリテーションにおいて、ベッドサイドで行えるものが主体であり、専用の施設や病床は必ずしも必要とせず、「施設基準」 ではなく「人員配置基準」 を定めることが効率的であると記載しており、資料2の急性期リハビリテーション 「包括化」 のニュアンスが少し滲んでいます。
以上の資料より、リハビリテーション診療報酬の 「包括化」 導入は、未だ未だみたいです。しかしながら、次回診療報酬改定にて、DPC対象病院である大学病院や高度急性期総合病院 (多数の病院が、セラピストの配置が元々少ない) での急性期リハビリテーション対策のため、資料2のような包括化された 「急性期リハビリテーション料」 が導入される可能性も捨て切れません。(一方、セラピストが充分配置されている病院もありますので、そういう病院は疾患別リハビリテーションを算定しても良いという、二本立てかも知れません)。
今後の中医協とDPC評価分科会の動向を注視する必要があります。
ブログ筆者の考え
リハビリテーションに対しDPC導入賛成・反対には賛否両論があるが、臨床上単位別20分に分ける意味はあまりないと考える。本当に軽い運動指導だけが必要な方でも20分間介入しなければならず無駄が多い。DPCでは、必要な時間を有効に使えるという点では価値があると考える。リハビリテーションが現代医療にとって効果的であるならば、時間的評価ではなく質的評価を重視するような制度設定にする必要がある。そうなれば、高度な専門的経験と技術が必要な領域とそうでない領域とを区別する必要があるのだが。
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