【相談1】 高い目標に部下たちの反応がない
私に、仕事で転機が訪れました。わが社(食品会社)が、アスリート向けの健康機能食品を発売することになったのです。私はこの新しい仕事にぜひ関わりたいと考え、社内公募制度を使って、その部署へ異動することになりました。リーダーとしてこの新商品のプロモーションに当たります。
当社は後発です。また、先行企業が2社で寡占状態となっています。そこへどうやって切り込んでいくか、具体策はこれからですが、志を高く持つことだけは決めています。先日の顔合わせの際に「2年以内に先行2社に追いつく」「次の大会までに、オリンピック代表級の選手から指名される商品にする」などと話しました。しかし、メンバーの多くは、社内公募ではなく、通常の人事異動で集められた人だからなのか、反応がいまひとつです。中には「その目標は乱暴すぎる」と言う人までいました。
しかし、高い目標を掲げて、それに少しでも近づこうとするから、いい成果が出るわけです。低すぎる目標は達成するのは簡単ですが、飛躍的な成長を促すものにはなりません。どうしたらこの思いを分かち合えるでしょうか。
当社は後発です。また、先行企業が2社で寡占状態となっています。そこへどうやって切り込んでいくか、具体策はこれからですが、志を高く持つことだけは決めています。先日の顔合わせの際に「2年以内に先行2社に追いつく」「次の大会までに、オリンピック代表級の選手から指名される商品にする」などと話しました。しかし、メンバーの多くは、社内公募ではなく、通常の人事異動で集められた人だからなのか、反応がいまひとつです。中には「その目標は乱暴すぎる」と言う人までいました。
しかし、高い目標を掲げて、それに少しでも近づこうとするから、いい成果が出るわけです。低すぎる目標は達成するのは簡単ですが、飛躍的な成長を促すものにはなりません。どうしたらこの思いを分かち合えるでしょうか。
チームの状況に適さない高い目標は部下のモチベーションを下げるだけです。相談者は、まずはチームがどの段階にあるかを見極めなくてはなりません。
まず、相談者は本当にその目標が達成できると思っているのか、素に戻って、もう一度考えてみてください。願望と達成可能な目標とは違います。リーダーの独善的な思いだけで掲げた極めて高い目標は、ただのスローガンと同じです。
■チームの成長段階を意識せよ
チームには先述したように成長の段階があります。第1段階はお互いに様子見をしている形成期(フォーミング)、第2段階は自己開示と他者受容を招く混乱期(ストーミング)、第3段階はチームとしての力が出始める標準期(ノーミング)、第4段階はチームの能力が発揮され、成果を上げる達成期(トランスフォーミング)です(図)。
高い目標が機能するのは、チームが第4段階にある時だけです。相談者のチームは、まだ動きだしてもいないわけですから、高い目標はむしろメンバーのモチベーションを下げます。メンバーの皆さんの反応は、自然です。まずは第1段階、第2段階とステップを踏むことを優先してください。
そして、第3段階に入ったら、第4段階へと進むため、メンバーにはたくさんの成功を体験させてください。これはつまり、達成可能な目標を設定するということです。「これならできる」と感じたメンバーは、実際にそれを実行します。そして、目標を達成します。多少低い目標であっても「達成できた」というこの事実だけが、メンバーを、自分たちのチームには力がある、できるという気持ちにさせます。
できると分かっていれば、メンバーは安心して仕事に取り組めます。その安心感が仕事の効率を上げます。達成できるかどうか不安な状態で仕事をしていては、効率が落ちるのと裏表の関係です。
低い目標を設定し、達成する。それを繰り返していると、リーダーとして、大きな目標を提示したくなるかもしれませんが、そこは我慢してください。いつまで我慢するかというと、メンバーから高い目標が提案されるまでです。
成功体験を繰り返しているうちに、メンバーは、物足りなくなってきます。そして「そろそろもっと大きな目標を立てて、達成したい」と考えるようになります。つまり、目標が「やればできるもの」から「やって達成したいこと」に変わるのです。
こうなった時、チームは第4段階に突入します。それまでの間、リーダーは辛抱強く、メンバーに成功体験を与えることに徹してください。そして、その実績を承認してください。つまり「よくやった」「やってくれると思っていた」と、具体的な成果を褒めるのです。のべつまくなしに褒めていては、皆は成長しません。
また、場合によっては、メンバーの中に、大きすぎる目標を掲げたがる人がいることがあります。そういったペースメーカーの存在も重要ですが、チームが成長する前に、チームがその人の目標に引きずられてしまうことは避ける必要があります。その調整もリーダーの仕事です。
リーダーの仕事とは「高い目標」を掲げることではなく、チーム状況を洞察し、その状態で達成可能な適切なマイルストーンを設定し、成功体験を重ねることでチームに自信と信頼をつくり出すこと。そして、その積み重ねによってリーダーが本来望んでいる高い目標に向かうモチベーションを、メンバーの自律性によってつくり出すことなのです。
部下の立場で描いている理想のリーダーと実際にチームをまとめれるリーダーは全く別物。医療の世界でも、チームや集団での取り組みが重要視されている。集団をまとめ、想像以上の成果を上げるにはリーダーとしてのスキルを持っていなければならない。
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