2012年8月10日金曜日

大胆予想25年 民間の急性期医療は衰退へ- GHCアキ氏「いびつな医療体制に」


■“隠れDRG”がもたらす医療変革
 診療報酬による誘導策は「小技」だと言ったが、それでもこの4月の診療報酬改定には、注目すべきものもある。中でも大きいのは、医療費の大半を入院初日に投入する仕組みがDPCに導入されたことだ。現時点では肺がんなど22の診断群分類に限られているが、これは米国のDRG/PPSとほぼ同じ仕組みで、わたしたちは“隠れDRG”と呼んでいる。




 “隠れDRG”は、急性期病院の姿を大きく変える可能性をはらんでいる。この仕組みでは、入院期間が長くても短くても、病院への収入は大きく変わらない。このため、入院をわざと長引かせて投薬だけを続ける“素泊まり入院”が意味をなさず、早く患者を回転させるほかなくなる。




―こうした仕組みが今後、広がる可能性もある。
 将来的に、症例数が多くて、しかも素泊まり入院が多い「狭心症の心臓カテーテル」や「白内障」「鼠径ヘルニア」などに隠れDRGが広がれば、急性期病院は今までのように見せ掛けだけの病床稼働率を維持できなくなる。公立、公的、民間を問わず多くの病院ではベッドががらがらになり、一般病床の削減そして地域で必要な亜急性期や回復期病床への転化が一気に進むはずだ。

 日本の民間病院はベッド数300床未満の中小規模が多い。税制などの条件が不公平な中で規模の大きい公的病院と競争をしても、勝ち抜くのは極めて難しい。このため、民間による急性期医療は今後、徐々に衰退していく可能性が高い。




―公立、公的病院は安泰なのか。
 そうとは言えない。ただ、病棟を建て替えた病院では費用を回収する必要があるので、例え病床ががらがらになっても、急性期からの撤退になかなか踏み切れないはずだ。こうなると我慢比べだ。

 日本の医療は将来、極めていびつな提供体制に支えられるだろう。こうなることは、ずっと前から分かり切っていたはずだ。本来なら、高度経済成長期やバブル期など財政にゆとりがあった時期に抜本再編を行うべきだった。残念ながら、そのための好機は既に逃したと思う。【聞き手・兼松昭夫】


CBNEWSより http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37850/page/1.html

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